平屋のガレージハウス事情

ガレージハウスは「インナーガレージ」や「ビルトインガレージ」とも呼ばれる住宅構造であり、家族と自動車がうまく共存するための特殊な構造に仕上げる住宅です。車庫や駐車場を住宅に内包する形ですので、大切な自動車をしっかりと保管できます。

ガレージハウスのメリット

車を雨風から防げる

どんなものでも雨風にさらされ続けると傷み、汚れてしまいます。しかしガレージハウスに自動車を保管しておくと壁やシャッターで外部から隔離することができるため、大雨や台風などの激しい気候や砂ぼこり・紫外線などからも車体を守ることが可能です。

防犯性が高い

自動車を持っていて心配になるのが車上荒らしや盗難です。また、盗まれるまではいかずとも傷をつけられたりイタズラされたりすると大切な愛車の価値を大きく毀損してしまう恐れがあります。ガレージハウスであれば家の中に車を保管している状態となりますので、あらゆる危険から車体を守ることができるでしょう。

おしゃれな外観をつくれる

ガレージに広いスペースを確保できる住宅の場合、自身が手入れするために必要な道具・設備も置くことができ、趣味の空間としてスペースを使うことができます。また、車も含めて一体として見ることにより、おしゃれな外観づくりに貢献することもあります。車だけでなくバイク好きの方も、アメリカンな空間演出などができるかもしれません。

ガレージハウスのデメリット

建築費用が高くなる

通常の住宅と異なる構造にすることから、ガレージハウスを作るにあたっては建築費用が高くなってしまいます。シャッターなどの設備も取り付ける必要があるので、必要な備品や設備を導入する分だけ総額としても費用が大きくかかってしまうでしょう。

換気や防音、照明といった設備が必要

ガレージハウスはいわば自分だけの自動車整備工場、というような状態になりますので、暖機運転や自動車いじりに対応できる設備として換気設備・防音設備・照明設備などが必要になります。設備が増えると当然その分だけ費用もかさみますので、これはデメリットと言えるのではないでしょうか。

居住空間が狭くなる可能性がある

住宅は限られた土地の中に建物を建築しますので、ガレージにスペースを費やせばその分だけ居住空間が圧迫されることになります。その分単純に狭くなるのか、それとも3階建として居住空間を上に押しやるのかという問題はありますが、いずれにしても調整が必要にはなってしまいます。

ガレージハウス以外のガレージタイプ

分離型

分離型は車庫やカーポートなどのように、住居とは別にガレージスペースを設ける形態をいいます。車を置くことができる土地スペースを確保できるのであれば事後的に追加することもできますし、居住スペースに影響を与えることはありません。どこまで本格的な上物（ガレージ）を建てるかによって、かかる費用も大きく変わってきます。

ビルトインガレージ

ガレージハウスをビルトインガレージと呼ぶこともありますので基本的に意味合いとしては同じですが、一般的に言葉の意味分けとしては「ガレージハウスが新築時に作られたもの」「ビルトインガレージがリフォームによって増改築されたもの」とされています。もともとがガレージスペースではないことから設備の準備などに別途費用がかかる点や、既存の構造に対する工事が必要になるケースもあることから費用が割高となる可能性が高いです。

平屋で叶える、ガレージハウスの施工実例

ガレージから庭へ、自然とつながる平屋

アウトドア好きなご夫婦が思い描いたのは、「家にいながら自然を楽しむ暮らし」。

外観は、落ち着いたアイボリーの塗り壁に木目が映えるガレージ、そして植栽の緑が調和するデザイン。和モダンの落ち着きとカジュアルな雰囲気が心地よく共存しています。ガレージは道路と庭の両方からアクセスでき、荷物の積み下ろしやアウトドアの準備にも便利。隣には自転車やキャンプギアをしまえるスペースも確保されています。

室内は、天然木の風合いを活かしたカウンターキッチンや、効率的な水まわりの配置など、暮らしやすさを意識した設計。土間収納を通じて庭とつながる“アウトドア動線”や、屋内と庭をやさしくつなぐ土間リビングが、住まいの中に自然を取り込む仕掛けになっています。

愛車と暮らす、2台ガレージのある平屋

「好きなことを、暮らしの延長で楽しみたい」。そんな施主様の想いを形にした、ガレージ・土間・薪ストーブ・中庭など、こだわりが詰まった平屋のガレージハウスです。

ガレージは自動シャッター付きで、車を2台駐車可能。隣にはスノーボード板のメンテナンスができる趣味の作業部屋を設けました。窓越しに愛車を眺められるレイアウトも魅力のひとつです。さらに、ガレージから室内へ直接アクセスでき、シューズクローク→ランドリールーム→洗面室へとスムーズにつながる動線を確保しています。

室内は木のぬくもりに包まれ、キッチン腰壁にはモールテックスを採用。モルタルならではの風合いを残しつつ、防水性と実用性を兼ね備えています。キッチンの腰壁は、手元が見えにくくなるように少し高めに設計。生活感を抑え、空間にほどよい落ち着きを与えてくれます。

Japandiスタイルの平屋ガレージハウス

真っ白な塗り壁が印象的な外観。正面から見るとシンプルなBOX型の佇まいですが、実際はコの字型の構成で、内側にはゆったりとした中庭が広がっています。

インナーガレージは建物と一体化されており、雨に濡れることなく室内へ出入り可能。外の無機質な印象とは対照的に、内装は勾配天井のある明るいリビングを中心に、ダイニング・和室・中庭がゆるやかにつながります。

インテリアは洋風の家具や絵画が映えるよう整えつつ、格子や障子のような日本的な要素も随所に取り入れられたJapandiスタイル。シンプルで上質、そして暮らしやすさを兼ね備えた、センスが光るガレージハウスです。

まとめ

住宅購入は一生に一度の大きな買い物とも言われるほどですので、できれば後悔なく終えたいものです。オフの時間を家族と共に過ごすことになる我が家を妥協のない空間に仕上げるためにも、設計士さんとしっかり相談しながら進めていきましょう。
もちろん住宅を建築するうえでできること・できないことはさまざまですが、費用だけでなく実現したいこともしっかりと織り込んで、納得のいくマイホームづくりを目指しましょう。